トツゲキ倶楽部について教えてください。

A:立ち上げたのは2006年。その前から自分で脚本を手がけ、芝居を作ってみたいという欲求はあったんです。だから、それまで役者として共演させていただいた役者さんには声をかけていて、「いつか立ち上げた時にはよろしく」みたいな話はしていたんですよ。でもお金もないし(笑)、なかなかキッカケもつかめず、だらだらと歳月が流れてしまった。やると決めてからは、とにかくおもしろい芝居を作りたい。生まれて初めて演劇を見た人でも「演劇っておもしろい」って思ってもらえるように心がけてスタートさせましたね。一回目の作品はどちらかといえば、ドタバタに近いコメディ。基本的には、シリアスだろうと社会派であろうと、どんなジャンルでもエンターテインメントになりうると信じて、まずはお客さんに楽しんでもらうことを念頭に置いて作っています。


トツゲキという名前の由来は?

A:これは芝居を自分の手で立ちあげたいと思い始めた頃に思いついていた名前です。トツゲキという意味には劇場界にトツゲキしてやるという意味と、「突然ですが、演劇やります」という宣言みたいな、2つの意味があります。もともと劇団という形で固定のメンバーでやろうとは思っていなくて、自分たちがやりたい題材に合わせていろんなタイプの役者さんと一緒にやりたいと思っていたので、放課後の部活感覚のように気楽に集まれるようにと、倶楽部と名付けたんです。最初はさすがにどこの馬の骨か分からないような存在でしたから、同じような顔ぶれがやることが多かったですが、最近はおかげさまで毎回新鮮な座組を組めるように。何名か続いて出てくださっている方もいますが、けっこう出演者は変わってます。そこが面白さでもありますし、こちらもドキドキする部分ですね。同じ人に出てもらったとしても、前回とは違うタイプの役を用意します。これは作り手としての鉄則です。劇団だと、どうしても役者個人のキャラクターを優先するせいか、同じタイプの役になることが多い。これだと演じる側も楽しくないと思うんですよ。だから、毎回違うキャラを演じてもらう。演じている皆さんも楽しんでもらえているようで、鉄則として続けてきて良かったなって思っていますよ(笑)。


今までいろんなジャンルの作品を作られていますよね。

A:とにかくジャンルを問わず、テレビとも映画とも違う、演劇ならではのエンターテインメントを目指しています。作者としては、描きたいこと、叫びたいこともありますが、それをただストレートに語るのではなく、観に来てくださった人たちがまずはおもしろいと感じてもらった上で、あとで「こういうことかな」って思ってもらえるような、何かを残せたらいいな、と。表現方法に関しては常に模索していて、本公演とは別に実験的な精神を兼ねる場合はサイドBと銘打ち、独特なテイストの作品も上演しています。それもエンタメには違いないんですけどね(笑)。


今後の展開について教えて下さい。

A:とにかくそこに人が生きている舞台を作りたいですね。ウチは“ありえないけどありえるかもしれない状況”と“ゆるくもしっかり生きている言葉と演技”で独特の人間模様のおかしさをエンタメ化して描くことをモットーとしているので、とんでもなくぶっ飛んだ設定・状況の中で、思わず「あるある!」と思えてしまうくらいにリアルな登場人物たちの生きている姿を描いていきたい。今回の『タナカSUMMER』もまさにその流れに沿った作品。私自身、最近、両親を失って、家族って何だ!? と考えさせられることが多かった。そんな気持ちを正直にぶち込み、誰もが感じる身近だからこそ愛おしくて面倒くさい家族の姿を、トンデモな出来事(笑)の中で見せられたらと思っています。とにかく一度劇場に足を運んでほしいですね。

 


 トツゲキ倶楽部

『タナカSUMMER』

10月
24日[水] 19:00
25日[木] 19:00
26日[金] 19:00
27日[土] 14:00/19:00
28 日[日] 14:00

《チケット料金》
前売 3,500円/当日 3,800円
※売上金の一部は東日本大震災義援金として寄付させていただきます。

《出演》
市森正洋

宴堂裕子

小國彰裕

加藤記生

かわもとゆうき

北村清治

久保広宣(カウンタックーズ)

こまるゆい

白石悠佳(Theatre劇団子)

添野豪(電動夏子安置システム)

高橋亮次

高橋優都子

田中ひとみ

仲澤剛志

前田綾香

丸山修司

横森文

 (五十音順)