interview no.108 Manhattan96
 


Manhattan96

女優・今井夢子が主催するパフォーマンスユニット。レビューショウ公演、ダンスイベント出演など他分野で活動中。 主宰は14歳よりタップダンス・ジャズダンスを学び、18歳より演劇の道へ。現在、椿組所属。tpt、劇団お座敷コブラなど演劇公演の振付も行う。


    本日はManhattan96主宰の今井夢子さんにお話をお伺いいたします。まずはManhattan96という団体について教えてください。

Manhattan96は、主宰である私・今井夢子が自身での創作パフォーマンスを行う時のユニットです。あ、ちなみに「マンハッタン キュウジュウロク」と読みます。ナインティシックスとか、シックスナインとか(!)言われてしまいがちなのですけど、ここは日本語で。

自分は普段、椿組という劇団のメンバーとして花園神社での野外劇に出演したり、ザ・演劇な世界にいるのですが、一方でお芝居を始めるよりも前からタップやダンスを勉強していたので、ショーの世界というものもとても好きなんです。
椿組の汗だく泥まみれな世界も大好きだけど、それと同じだけ、綺麗で華やかなショーの世界も恋しくなってしまうのですね。
なので芝居に出演する合間に、Manhattan96としてお呼ばれしたダンスイベントで、その都度一緒にやりたい人を集めて、踊りや朗読やタップのパフォーマンスをしたり、作り溜めてきたものを元にして、本公演としてひとつのレビューショウを創ったりしています。 作品を作るときに大切にしているのは、エロとポップと少しの残酷。
女の子が中心になって作る作品が多いので、女性ならではの直接的でなく心が疼くようなセクシーさ。なにが出てくるかわからない飛び出す絵本のようなポップさ。そして楽しいだけでなく少しの棘も残す、残酷さをテーマにしています。



    レビューショウ、と聞くとやはり宝塚歌劇団のようなショーをイメージしてしまうのですが、レビューショウというのはどういうものですか?

これがね、説明が簡単なようで難しいんですよね・・・。 「唄や踊りや寸劇などの短いいくつかの場面で構成され、視覚的に楽しませる要素が多く、社会への風刺をきかせた舞台芸術」っていう説明がウィキペディアに乗ってたんですけど(笑)大枠はまあこれですね。

私がとても尊敬している演出家・振付家の先生で、竹邑類先生という方がいらっしゃいます。ミュージカルの演出もたくさんされていた方なんですけど、私はたまたま小さいころから先生の作品を見る機会がとても多かったんですよ。その先生が作っていた作品の中に、男性だけの少人数のレビューというのがあったんですけど、それがとっても演劇的なんです。 もちろんレビューなので歌って踊るんですけど、みなさんが思い描く、宝塚のレビューのようなものとは全然違って。
衣装がすごく華やかなわけでもない、綺麗な踊り子さんがたくさん出てくるわけでもない、けれど心が揺り動かされる。
それは、歌も踊りもすべてのシーンがお芝居だったからだと私は思うんです。 俳優の踊り、俳優の歌、俳優の体で見せるショーは、かっこいいぞと思うわけです。 なのでManhattan96のレビューは、ダンサーやシンガーのショーではなくて、俳優が自由自在にいろんなものに自分を変化させて表現する、そんなものを目指しています。 世界には人の数だけドラマがあって、葛藤があって衝突があって、時間があって。 そういうものを表現する方法が、たまたまダンスだったり、唄だったり、ときにはタップダンスだったりマジックだったり。目に楽しくて、耳に楽しくて、でもそれだけじゃなくて、哀しいことや残酷なことも起きる。そういうものをレビューショウと呼びたいし、見に来てくださった方に、これがレビューショウなんだ!と思っていただきたいですね。

    なるほど。ひとつの公演で、それだけいろいろな形のパフォーマンスが見られるのは、お得な感じもしますね。

そうなんですよ!!そうなんです!!
私はとにかく沢山の人に劇場という場所に足を運んでいただきたくて。大きくても小さくてもイケメンが出ていても出ていなくても、なんでも良いんですけど、劇場に足を運ぶ、ということがもっともっと広く身近なことになったらいいのに、といつも思っていて。
芝居ってなんだか難しいよって方には、ダンスで視覚的に楽しんでもらえますし。
ダンスだけだと目が疲れちゃうよって方も、タップダンスがあれば時々目を瞑ってもリズムで心地よくなれるし。
タップとかよく分かんないよって方は、昭和歌謡メドレー。絶対聞いたことある曲でとりあえず盛り上がれますし。
それでもやっぱり舞台ってなんか楽しみ方がわかんない!って方も、マジックで突然鳩とか飛び出してきたら、おお!とはなるかなと!
ひとつのジャンルだけだと気後れしちゃう方にも、いろいろちょっとずつなら楽しんでもらいやすいと思うんです。そこからさらに、たとえばこれまでお芝居しか観たことがなかった方が私たちの公演をみて「今度はタップだけの公演を見に行ってみようかな?」と思ってくださったり、普段ダンスを観ることの多い方が「演劇も気になる!骨太なお芝居を下北沢に見に行ってみようかな?」と思ってくださったりしたら最高ですよね。劇場に足を運ぶきっかけを増やす、そういうチャンスにレビューはなることができるんじゃないかなと思っています。
あと単純に私自身がとても飽き性なんです。物事にも飽きるし、人にも飽きるし、嗜好品も飽きるし。飽きずに演劇と踊りを続けていられて本当によかったなと思っていて。奇跡ですよ。ほんとすぐ飽きちゃうんです、自分でも怖いくらいに。
これがどんどんどんどん進行していったら、いつか自分自身にも飽きて、生きていくことにも飽きて、飽き死にするんじゃないかなと思うんです。
だから自分が飽きないものを創りたいという気持ちがありますね。せめて1時間40分くらいは、私ですら飽きる暇のないぐらい詰め込んで、SNSなんて見なくてもあっという間に過ぎる時間があるんだって伝えたいし、LINEしてなくても人と共有できるものが劇場にはあるよって知ってほしいし、お客様にお腹いっぱいになって帰っていただきたいですね。


    最後に、このManhattan96というユニットの名前の由来を教えてください。

名前の由来ですか!これちょっと恥ずかしいんですけど・・・。
私お酒がとにかく好きなんです。
Manhattanというのは、カクテルの名前です。ウイスキーベースの、強いカクテルで、「カクテルの女王」という異名があるんです。一杯でガツンと酔えるので好きなんです。
あと、スピリタスというお酒があるんですけど、飲用のお酒の中でいちばん度数が高いと言われていてその度数が96度なんですね。
というわけで、「Manhattan96」=「酒の女王最強」。
最高のカクテルであなたを酔わせますっていう意味です。
劇場でも皆様を最高に酔わせるショーがつくれるように、頑張っていきます。

    今後は、どのような活動をしていきたいと思っていますか?

レビューショウの普及はもちろんで、定期的に公演をしていきたいです。
あとはそうですね・・・シャンソン&ダンスライブやりたいですね、みんなでアコーディオンとかウッドベースとか演奏して渋い感じで。あと朗読と身体表現のコラボもしたいです。古典から最近のネット小説からなんでも使って。それから他分野のジャンルのアーティストの方と一緒に作品を創ったりもしてみたい。貼り絵、服飾、折り紙とか気になっています。それから場所も広げて、劇場でない場所でもやりたいですし・・・・

飽き性というのは、たくさんのものに興味が持てる、ということでもあるので、新しく面白い!と思ったものはどんどん取り込んで、まだ誰も見たことのないレビューを創っていきたいですね。
    本日はありがとうございました!

 


次回公演

Manhattan96
『Manhattan96 Revue ~珈琲豆のためのスケルツォ~』
日程 > 2/4(水)~8(日)
会場 > d-倉庫
tel. > 090-6547-2319(制作:和田)
公演詳細 > 公式HP

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