interview no.98 FUKUSU
 


    タイトルである「FUKUSU」というのはどういった意味でしょうか。

「服す」という言葉から来ています。「服す」とは、服従する、支配すると言った意味を持っています。

    「FUKUSU」という企画を立ち上げるに至った経緯、「服す」というテーマを選んだ経緯を教えて下さい。

まず、私たちが大学でテキスタイルを学んでいるということが大きな理由にあると思います。(「FUKUSU」は多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻2年生の有志が中心となっている企画。武蔵野美術大学空間デザイン学科の2年生の有志が舞台美術を務めている。)最初の頃、「身体と布の関係」ということから、私たちはどういったものがつくれるのだろうかと考えました。「身体と布の関係」というと、ほとんどの人がファッションや洋服といったワードを連想すると思うんです。しかしテキスタイルを学んでいる上で、私たちは「身体と布の関係」からファッションというワードを直結して連想することはありませんでした。服だけではない、「身体と布の関係」が見せる様々な姿を表現したいと思いました。「服」という言葉を辞書で引いてみると、「衣服」の他に「従う」「支配する」といった意味があります。例えば、人の日常生活で身近な存在である布、「衣服」は人が布を服している状態であると言えます。そういったところから「服す」は、人と布をつないでいる言葉としてテーマに選びました。

    「FUKUSU」とはどのような公演内容ですか?

「人が布を服す」、「布が人を服す」という2つの視点からアプローチする内容になっています。

    その2つの視点について詳しくお聞きしたいのですが、最初に「人が布を服す」について教えて下さい。

人が関わる事によって生み出される布の新しい姿を追求することが、「人が布を服す」での試みです。


    では、「布が人を服す」について教えて下さい。

私たちは普段、布を自分たちの意志で好きなように切ったり縫ったりして自分の身体に沿わせています。つまり私たちが布を「服している」状態ですが、今回は視点を変えて、布が私たちを服すことによってどのような状況が生まれるのかを表現しているのが「布が人を服す」です。

   それぞれの視点をどのような要素を用いて表現していますか。

2つの視点はともに3つのシーンで構成されています。 まず「人が布を服す」という視点では、人と布が純粋に関わる「美しい布」、人の動きによって変わる「変化する布」、今までにない布の定義を提案する「新しい布」の3つを表現します。 次に、「布が人を服す」という視点では布が人の感覚を支配するという設定をもうけ、人の五感のうちの「視覚」「聴覚」「触覚」3つに焦点を当て表現しています。感覚を奪われる事によって生じる身体の異常、感情の変化を観客の皆さんを巻き込むかたちで表現します。

   最後に、「FUKUSU」を見に来てくださる方へのメッセージをお願いします。

生活の中であまりにも当たり前になっている「布」という存在を、今回の企画では「使う布」としてではなく、いつもと違った視点で見ることができると思います。視点を変えた時に、日常生活で「空間」に存在し、「身体」を覆っていた布が一体どんな姿に変貌するのか。その新たな一面を見て、「布」という存在に新たな可能性を感じて頂きたいです。



FUKUSU 次回公演

日程 > 1/31~2/2
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公演詳細 > 公式HP

 
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