加藤紗希 Saki Kato

1989年生まれ。愛知県出身。ニッカポッカをユニフォームとする体育会系ダンスカンパニー「ビルヂング」主宰。
就学前より踊り始め、ジャズダンス・ミュージカルを経験。2008年に上京し、ダンサー・モデル・リズムタップインストラクターの活動を開始。近藤良平・平原慎太郎・ホナガヨウコなどの作品に出演しながら、振付家としても活躍。郷ひろみ「笑顔にカンパイ!」バックダンサー。サカナクション「僕と花」PV出演。第61回紅白歌合戦出演。

official web site 
http://www.sakicato.com/


   どういう活動をしていますか?
 
今は、【ビルヂング】というダンスカンパニーの主宰をしています。体育会系ダンスカンパニーと銘打ち、ニッカポッカをユニフォームにしています。2011年11月に旗揚げ、「圧倒的な勢いで全力!」をモットーに、舞台作品・映像作品の創作・イベント企画などが主な活動です。

どんなメンバーなんですか?
 
毎作品ごとに、170センチ以上のメンバーを集めています。わたしが170センチあるので、自分以上の身長の持ち主ですね。ダンサー・役者・ミュージシャンなど様々な活動をしている人たちに声をかけています。わたしが「一緒に踊りたい」と思う人たちを見つけています。

なぜ【ビルヂング】というネーミングなんですか?
 
まず、自分がカンパニーを作るときに身長の高い人たちと一緒に踊りたいと思ったのが第一にありまして。また、レトロなものとか昭和っぽいものが好きだということと、名古屋出身であること(※名古屋には、大名古屋ビルヂングという有名な建物がある)、今東京にいるということ、全てを頭の中で並べたら【ビルヂング】という名前が思い浮かんだのです。身長の高い人が並んだら、丸の内とか銀座のビル街に見えるかなあと。あのあたり、すきなんですよね。


 左:2012年5月「待ちわびる ターン」@セッションハウス 宣伝写真 photo by nomo
 
右:2012年8月「ビル風の吹く夏の盆」@d-倉庫 宣伝写真 photo by kazuki watanave


ユニフォームがニッカポッカである理由を教えてください。
 【ビルヂング】という名前を付けてから、カンパニーの色であるユニフォームに目をつけました。自分が作品にしたいものとして「全力で身体を動かす」ということに特化したいと思ったので、そこから発想して肉体労働者のスタイルに注目しました。昔から見かける度に、おもしろい服だなあと思っていて。それで、試着をしに行ったんですよ。

どこへですか?
 ワークマン(作業服の専門店)です。そこで、実際に履いてみたら、動きやすいのなんのって。「これだ!」と思いました。長身にも映えるし、実用性抜群だし、種類もたくさんあるし。今は、ワーキングウェアNO.1の寅壱さんに衣装協力をしていただいていて、とっても素敵なニッカポッカを履かせていただいています。本当に質がよいんですよねー。生地も丈夫だし、形もキレイなんです。ダンスをあまり見たことのない企業の方たちが応援してくださっているのが、とても有り難く嬉しいことです。

ビルヂングを立ち上げるまでは何を?
 生まれは名古屋です。舞台好きな母親の影響で、小学校入学前から踊り始めました。小学校5年生からは、ジャズダンスの先生について、イベントで踊ったり、コンテストなどに出場したりしていました。それまでは名古屋でダンスをしていたんですけど、中学二年生のときに、東京の劇団に入ってミュージカルに出ていました。その頃は親元を離れて、劇団で寮生活をしていました。毎日、学校へ行ってー、レッスンを受けてー、ご飯を食べてー、寝てー、みたいな生活をしていましたね。夏には全国ツアーで各地を回ったりしていました。車で回る巡業だったんですけど。北から南まで車で連れて行ってもらうんです。

へー。どんな演目をやっていたんですか?
 
『アルプスの少女ハイジ』をやっていました。ペーターという男の子の役だったので、髪の毛をバッサリ切って、サッカー少年みたいになっていましたね。そこの劇団は一年で辞めてしまって、また名古屋に戻ってダンスを続けていました。地元の高校に通いながら、毎日リズムタップを練習していましたね。

タップダンスですか?
 
はい。劇団のときに始めたんですけど、劇団を辞めてからもタップは続けていました。名古屋のR3というスタジオにお世話になっていました。今でも帰ると「おかえりー」と迎えてくれる大切な場所です。

今もやっているんですか?
 
やっていますよ。今は、レギュラークラスで教えたりグループレッスンで教えたりしていますね。ビルヂングでも『デビルな紳士』という作品で踏みました。


2012年1月「雨宿りのビル」@die pratze 宣伝写真 photo by shuhei fuchino

今後どんな活動を展開していく予定ですか?
 
ダンスに興味を持ってくれる人・観る人を増やしていけるような活動がしたいです。そのためには、もっと機会を増やしていくことが大事で、ビルヂングとしては場をどんどん作っていけるような活動がしたいです。異種格闘技戦のようなイベントとかがやりたいです。

異種格闘技戦?
 
はい、ダンスだけでなくて色んなジャンルのアーティストやクリエイターの人と繋がっていきたいです。音楽とか演劇とかは近い存在ですし、そんな人たちと輪になれるようなイベントを企画していく予定です。デザインとかも気になります。ビルヂング繋がりで、職人さんやボディビルダーの方とかもよいですね。始まりとかキッカケは、なんでもいいんです。言ってしまえば、ダンスでなくてもいいんです。結果的にダンスに辿り着けば。

なるほど。
 
そういう感覚もあって、ビルヂングのメンバーもダンサーに限らず、役者やミュージシャンも誘っているんです。皆同じことをしてもらっていますけど。面白いですよ、身体の固い人の独特の動きとかも好きなんです。身体が固いっていうのも一つの個性だし。まあ柔らかい方がなにかといいですけどね。あと、リズム感が無いって一般的に言われる方もリズム感が無いっていうよりも、独特な取り方なんだと思うんですよ。ひっくるめて全部肯定していきたいです。

肯定ですか。そういえば、ビルヂングの作品は「肯定的」だという感想が多いように思います。
 
そうですね。否定するよりも肯定する方が難しいと思うんです。コンプレックスも見方によっては良き個性になるし、ネガティブであることもポジティブになるのは難しいにしても、そのままでいても後々マイナスになることは無いと思うんです。私の好きな言葉に「日々是好日」というものがあって、簡単に言うと、晴れても雨が降っても全ての日を楽しんで生きる、という意味なんです。ツライときもその状態を受け入れて、引っ括めて良い日にしていけたらいいなと。そんなことをビルヂングでは肯定していきたいんです。

最後に、何か目標はありますか?
 
まあ、最終的にはビルを建てたいですね。大きくても小さくても。あと、小さい憧れだと、ロングラン公演をして着到板を作ることです。あれに憧れています。






 ダンスがみたい!14 ~崩れる身体
ビルヂング 『ビル風の吹く夏の盆』
8月15日[水] 開演15:30/19:30
会場 d‐倉庫

>>>「ダンスがみたい!14」公式サイト

<出演>
池田仁徳・香取直登・金丸慎太郎
杉山恵里香・福原冠・望月聡・加藤紗希

音楽/望月聡
振付・演出・構成/加藤紗希

映像/山田酩酊
舞台監督/河内崇(ルフトツーク)
音響/堤田祐史(WHITELIGHT)
協力/遠藤豊・ルフトツーク

制作/菅井一輝(office cassini)・長谷川航・高橋悠

宣伝写真/渡辺一城
宣伝美術/安田有吾

ニッカポッカ協力/株式会社 寅壱
後援/中華麺店 りゅうほう